※色々長いので、注目選手だけ見たい人は皇后杯の動画の下まで文章飛ばしてください。
2021シーズン、WEリーグ発足によるリーグ再編で実質3部相当だったチャレンジリーグが廃止、なでしこリーグ2部が実質3部相当となりました。2020年のチャレンジリーグ所属の12チームの内、NGUラブリッジ名古屋、アンジュヴィオレ広島、スペランツァ大阪高槻の3チームはなでしこ1部へ昇格。新潟医療福祉大学とセレッソ大阪堺ガールズは離脱。残りの7チームはなでしこ2部に引き続き参戦。そんな中、唯一新規参入となったのが「バニーズ群馬FCホワイトスター」というチームです。
2020年までは「群馬FCホワイトスター」というチーム名だったのが、当時なでしこ2部だったバニーズ京都SCの経営移管(実質は数選手の受け皿になったのみに見えるが)を受け、バニーズの冠を付けることに。元々フロントの繋がりがあるのか、ここ数年選手の行き来が多かったように見えた両チーム。バニーズ最後の公式戦となった皇后杯1回戦の相手がホワイトスターだったのは運命の悪戯でしょうか。後の報道を見ると、この試合の前に経営移管は決まっていたようですが。
そんなホワイトスター(以下、略称で統一)が2019年と2020年に戦っていたのは関東女子サッカーリーグ1部。群馬県1部、関東2部と連続優勝で頭角を現したホワイトスターでしたが、2019年は関東女子1部で8チーム中5位、2020年はコロナの影響で変則開催となり、グループAの最下位と順位決定戦の辞退により実質的には最下位に終わりました。その間、リーグ戦の成績とは関係なく基準を満たしていれば参戦できるチャレンジリーグ入替戦は、2018年は決定戦まで進出しながらPKで敗退。2019年は入替戦予選でアンクラスに敗れ2勝1敗ながらグループリーグ敗退(2020年は入替戦が開催されず)。
関東1部がどんなチームで構成されているかというと、2020年順位で以下の8チーム。
・日テレ・東京ヴェルディメニーナ
・早稲田大学
・ジェフ千葉市原レディースU18
・東洋大学
・浦和レッズレディースユース
・神奈川大学
・筑波大学
・群馬FCホワイトスター(→なでしこ2部)
群馬以外は、なでしこ1部→WEリーグ所属チームの育成機関、或いは大学。関東女子2部もほとんど大学か短大。2019年は筑波大学と尚美学園大学が入れ替わっていました。ただ、特に1部のレベルは恐らく他の地域リーグと比べると高いと思います。育成の3チームには将来レディースチームに昇格するだろう選手、既に下部組織登録で試合に出ている選手(特に2019年はワールドカップの年だったこともあり、メニーナの選手はベレーザの試合に何人か出場している)も多くいました。大山選手は大きなケガさえなければ数年後には代表に入るべき選手だと思います。早稲田大学は下部組織からの進学組と高校サッカーで名を上げた選手との合流点のひとつで、アンダー代表の廣澤選手(←ノジマの下部組織ドゥーエ)、後藤選手(←メニーナ)船木選手(←メニーナ)、高校サッカー組の並木選手(←藤枝順心)、髙橋選手(←日ノ本学園)、堀内選手(←常盤木学園)など挙げればきりがない最強軍団(2019までは11連覇?)。東洋や神奈川もアンダー代表や後になでしこリーグに加入する選手を多く抱えています。大学進学が首都圏に集中する世情もあり、関東1部はリーグレベルが底上げされていると言えるかもしれません。
話をホワイトスターに戻すと。
2019年シーズン、ホワイトスターは夫馬健太監督の下で攻撃的サッカーを指向。その中でパルセイロレディースからGK小髙選手を獲得。かつてパルセイロレディースに所属していた長野県出身のMF牧井選手がいたこともあり、このシーズンから私はホワイトスターを見始めました。
当時のホワイトスターは3-5-2の布陣。ただし3バックは真ん中に中盤が本職の相沢選手、その左右には攻撃力が高く(中盤経験があり)どちらかというとサイドバック的なキャラクターの倉谷選手と関口選手。中盤の底2枚は、共にFW経験のある高塚選手と新井選手という、後ろも含め全員アタッカーのような布陣。かつてパルセイロレディースで本田監督が標榜した「沢山得点して、その分失点もして、ドキドキヒヤヒヤしてもらった方がお客さんに楽しんでもらえる」を思い出すような明確なスタイル。2019シーズン、ホワイトスターはリーグトップの39得点(14試合)を記録しましたが、強力2トップだけではなく上記の5選手が全員得点(計7点)しています。チーム全体の攻撃力を武器にシーズン折り返し時点では首位でしたが、後期に入り陣形の変更、主力の離脱など内的要因も重なり4連敗。2020年の相沢選手のインタビューにもあるように、一通り対戦して相手が対策を練ってきたのも大きかったと思います。
しかし傍目から見ると、それ以上に負けが込んでチームが迷走しているように見えました。詳細は以前書いた2019年の考察記事をご覧ください。優勝の可能性も僅かに残る混戦のまま迎えた12月の最終戦も3-3で引き分け、関東1部の最終順位は8チーム中5位。皇后杯関東予選を経て迎えたチャレンジリーグ入替戦予選では、スライド式ではなく普通の4バックになり、2勝1敗で予選突破はなりませんでした。
試行錯誤の2019年を終え、野田新監督の就任が決まりさあこれからという2020年に新型コロナ。関東女子1部は8チームを半分に分けての3試合のみの日程に。ほぼ全ての試合が無観客開催となる中、ホワイトスターは何故か全てアウェー。1分け2敗で7-8位決定戦に回り、その試合も辞退。皇后杯関東予選は全試合栃木県?で無観客開催。こちらは早稲田大学に勝利し優勝。で、皇后杯1回戦(観戦あり)は前述の通りバニーズに2-1勝利、2回戦はなでしこ1部のノジマステラ神奈川相模原に0-1で敗れました。
2020年はコロナの影響での無観客も含めホームゲームもなく、地元群馬県にアピールする機会をほとんど作れなかったのではないでしょうか。なでしこ2部への参戦がメディアで伝えられ、どれだけ2021年ホーム開幕戦に観客が集まるか。私が知る限りでは2019年8月に前橋総合運動公園で開催された神奈川大学戦が一番観客が多かった試合だと思います。300人弱。これは超えてほしい。
最後に、是非注目してほしい選手の紹介。
背番号1 GK 小髙愛理選手
元U17日本代表。広いプレーエリアとシュートストップが武器のファイター系ゴールキーパー。2019年の攻撃的戦術は小髙選手がいなければ成立しなかった。
背番号8 DF/MF/FW 相沢優里選手
ホワイトスターの頭脳。2019シーズンはリベロ、2020シーズンはフォワードとチーム状況に応じて如何様にも振る舞える万能選手。2021は中盤で攻撃のタクトを振るう活躍を期待。
背番号15 FW 兼重紗里選手
2019年以来の復帰。その2019は関東1部得点王(タイ、12得点)。11得点の佐藤選手と共にリーグ最強2トップの一角を担った。空中でのトラップやヘディング、ダイレクトプレーが光る万能型ストライカー。
背番号19 MF 小泉綾乃選手
パルセイロレディースからの新加入。4-4-2ならサイドハーフorサイドバック、3-5-2ならウイングバック。いずれにしろ類稀なスピードを活かせるポジションでの活躍を期待。
背番号2 DF 関口真由選手
吉備国際大学Charme在籍時は2014年になでしこリーグ1部を経験。スピードがあるサイドバックだが、左足から放たれるクロスやロングシュートも持ち味。
背番号10 MF/FW 小嶋美舞選手
2020加入時に相沢選手から10番を継承。皇后杯2回戦の動画でも見られる細かいタッチからのドリブル突破でチャンスを生み出す。
背番号7 MF 高塚綾音選手
関口選手と同様、吉備国際大学Charmeでなでしこリーグ1部を経験。中盤の底からチームを支える147cmの小さなアンカー。攻撃参加も魅力。
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